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すべての人にあらゆる可能性がある
タロットはそこに至るロードマップ
ボイジャータロット創始者 ジェームス・ワンレスさん

2011.11.19 update|インタビュー

インタビュア:旭 享子 通訳・写真:マヤカ

ボイジャータロットというカードに出会って、それを習ったとき、一番にしたかったことは、作者ジェームス・ワンレス博士に会うことでした。カードを深く理解したいと願えば願うほど、彼のエネルギーに触れたいと思っていました。それが、今回、ボイジャータロットジャパンの招聘によって、来日がかないました。スクールの連続でお忙しい中を、時間をいただき、インタビューさせていただきました。ちょっと緊張気味かもしれませんが、それはもう憧れの人に会う、わたしのわくわくドキドキだとご理解ください。
(ラティーシャ・たか子こと旭 享子)

新しい時代のための、新しいタロット

━━━ボイジャータロットというタロットカードをつくったきっかけをおしえてください。 

  • これまでのタロットカードの古い決まりごとを破りたかったのです。古い西洋社会の概念やタロットが生まれた時代の持つヒエラルキーといったことに関係なく、すべての文化に通じる、21世紀の新しいカードをつくりたかったのです。

━━━ジェームスさんは、1985年にこのボイジャータロットを出版されました。21世紀のタロットをつくりたいということでしたが、21世紀はこのようになるだろう、という予感はいつ頃からあったのでしょうか? 何かメッセージのようなものがあったのですか?

  • わたしはその頃、頻繁に瞑想をしていました。しかし、それが何か外側からの高次のパワーやメッセージを受け取ったとか、そういうことではなく、内側から、あくまでも内側から湧いて来たものです。直感、内側の感覚です。

━━━それにしても、21世紀が来る10数年前にその感覚をキャッチしていたというのは、素晴らしいことですね。とても早くに次の世紀のエネルギーをキャッチされていたのですね。では、このカードを、コラージュという画像を使おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

  • わたしは、コラージュアートが好きでした。コラージュは、どんなイメージでも、一緒にそこにのせることができますよね。論理的な決まりきったものではなく、幻想的で、夢の中のような表現をすることで、脳を刺激して揺さぶることができます。また、コラージュは自分の感じているイメージを直感で選ぶことも可能にします。

━━━ボイジャーカードには、古いエジプトの神様の像とか、仏陀なども使われていますが、時を超える叡智ということも意識されていたのでしょうか?

  • 仏陀やエジプトの女神などは、すべての文化圏に通じる、普遍的な元型(アーキタイプ)なのです。古今東西問わず、誰もが、それらの元型から共通した経験、真実を見ることができます。それと、わたしは、世界中を旅して、たくさんのアートを見たことがあり、そういったアートそのものが好きだというのもあります。

━━━わたしが、ジェームスさんの考え方の中で、とても素晴らしいなと思ったことのひとつとして、例えば数秘や占星術だったら、あなたはこの星座、あなたはこの数字と、分類していきますが、ジェームスさんは、基本のライフナンバーや星座があっても、何になってもいいんだよ、どれを生きてもいいんだよという、例えれば、神の視点から見るような自由さのあるところです。

  • そうですね。ただひとつという分類はしません。すべてのひとが、あれも、これも、あらゆる可能性があると思っています。わたしたち人間は、自分たちで思っている以上に多様であり、多面的なのです。ですから、わたしたち一人ひとりが、“Magician”でもあり、“Priestess”でもあり、すべてを有しているのです。

━━━ジェームスさんがボイジャーをつくり始めた80年代は、まだ、限定してどんどん分類していくという考え方が一般的だったと思うのですが、どうやって、そんな大きな、広い考えを得たのか知りたいのですが。

  • (笑)。瞑想によって得たと言えます。すべての部分が自分の中にあることが見えたのです。わたしは深い内観によって、自分の中にすべてがあると知りました。それは、誰もががそうなのです。そのことは完全に腑に落ちました。

━━━それを、新しいタロットで表現しようとしたということですね?

  • そうです。わたしたちは、すべての文化をもち、すべての元型であり得る、宇宙(ユニバース)なのです。

━━━そういった考えを、タロットカードというツールにしたのはどうでしてですか?

  • 新しい意識、意識の変容というのが世界中で求められていました。ですから、新たな時代で新しい人生を生きるためには、やはり新しい地図が必要だと思ったのです。
  •  タロットカードや占星術は、深い叡智を秘めているものの、何世紀も前に誕生したものですから、現代に即してはいません。古いのです。わたしたちは、今を生きるための新しいロードマップが必要でしたが、それがありませんでした。欲しいのは、そのとき生きているすべての人が使えるロードマップです。人種、文化、年齢を問わずに誰もが使えるものが必要だと思ったからです。

━━━ジェームスさんが一番好きなボイジャーの1枚をおしえてください。

  • そうですね(笑)、頑強な“Chariot”も好きですし、“Fool-Child”も好き、魔法を起こす“Magician”も好き、“Priestess”も好き……すべて好きです!

chariot.jpg“Chariot” 戦車のカードfoolchild.jpg“Fool-Child” 愚かな子供のカード


日本へのギフトは“Magician”

━━━日本に来られたのは初めてですか?

  • いえ、3回目になります。初めて日本に来たのは、1962年18才のときでした。学生だったのですが、日本の禅、茶道、華道など、精神性の高い伝統文化にとても大きな衝撃を受けました。そして、2回目の1975年以来、3回目になります。

━━━来日されての日本の印象を聞かせていただけますか?

  • とても、文明化されていて、そして調和的だと感じました。殺伐とした荒々しさというのものが全くなく、かつてよりも非常に平和的であると感じました。しかし、日本の人は、今もまだあまり自己表現が少なく、みんなと同じでいようという人が多いように感じました。わたしが日本に来て行うミッションのひとつとして、日本人の自己表現を助けるというのがあるかもしれません。より表現豊かに、より創造性を発揮して、自分を外に出すというような。

━━━それでは、近いうちにまた日本に来ていただけますか?

  • そうですね! ぜひ、そうしたいです。
  •  日本の方々とはとても意志の疎通がしやすいです。たぶん、わたしには日本人の過去生があるのかもしれませんね。日本はわたしにとって、とても居心地がいいのです。

━━━今回来日されて、ボイジャータロットのワークショップを行われましたが、生徒さんたちの印象はいかがでしたか?

  • 時折、推測が難しいと感じたことがありました。わたしが話したことへの反応やフィードバックが少なかったりすると、理解しているのかなと分かりにくいこともありました。でも、みんなが深い理解にあることも感じていました。

james002.jpg来日中のワークショップ風景。
━━━ボイジャータロットがつくられてから20数年が経ち、今年、新しいカード、サスティンカード(Sustain Cards)を出版されましたが、そのカードはどのように誕生したのでしょうか?

  • わたしは自然をこよなく愛しているので、その自然を表現したカードをつくりたいと思ったからです。自然はわたしにとって、あらゆる面において先生です。20年の歳月をかけて、これをつくりました。

━━━ボイジャータロットで自分の才能を開発し、新しい自分を発見したら、このサスティンカードでそれらを維持していくという使い方でいいのでしょうか?

  • そうです。日々、よい状態を継続していくためのカードです。現代社会は、生きるのに難しくもあります。過度に求められて、それにこたえることがきついこともありますからね。

sastain_Lake.jpgサスティンカード“Lake” sastain_spiral.jpgサスティンカード “Spiral”



━━━今年3月、日本では大きな地震がありました。そのことについて、何かメッセージがあったらお願いします。

  • その出来事についてですか?

━━━これから復興していくための、人の心の持ちようについて。

  • この出来事は、日本に限ったことではなく、すべての人に関わることだと思います。そして、それはわたしたちの内側で起こっているとも言えます。たくさんの地震がわたしたちの内側で起きているのです。地震も津波もわたしたちの中にあります。それらに、あなたはどうやって対応しようとしますか? どのように癒しますか?
  •  外側に起きていることは、内側で起きていることです。これは、困難な現代の暮らしの中で、どうやって生きるかというよいメッセージだと言えます。自然に生きるためのアラームのようなものです。例えば、原子力エネルギーではなく、太陽エネルギーのような、再生可能なクリーンエネルギーの選択のための目覚めのきっかけです。

━━━本当にそうですね。今回の震災は、わたしたちにとって衝撃的な体験をもたらしましたが、それは単に暗い影だけではなく、たくさんの光を見たとも感じます。

  • その通りです。本来の生き方を見つけるための目覚めのきっかけなのです。例えば、ドイツは、今回の日本の事故を受けて、原子力エネルギーの使用の停止を決めたそうですが、もしドイツがそうなれば、他のヨーロッパ諸国もそうなっていくかもしれません。そしてアメリカもです。これはとてもいい傾向です。タロットカードで言うところの“Tower”のカードそのものですね。

magician.jpg“Magician” 魔術師のカード
━━━日本人にボイジャータロットをプレゼントするとしたら、ジェイムスさんはどの1枚を選ばれますか?

そうですね。“Magician”カードはいいカードですね。このカードは、いいことも悪いこともどんなことも変容を促します。
 例えば、地震のような好ましくないと思うことを、前向きなチャンスに変えることができます。魔法のように。

  •  日本の方々は、ものごとを再建していくこと、維持していくことにとても長けている人たちだと思います。
  •  第二次世界大戦後にも見事な復興を遂げたように。それは本当に驚くべき、マジカルな出来事で、マジカルな人たちだと思います!

ツールを超えて自分自身を表現する

━━━ジェームスさんの人生において今、一番の喜びは何ですか?

  • 仕事が好きです。今自分がやっていることがとても好きです。今取り掛かっている本の執筆も好きですし、自分の仕事を愛してます。特にアジアで創造的な若い人たちに出会うことは、わたしにとって新たな世界を開いてくれます。自分自身を若返らせ、そして、新しいものを発見させてくれます。

━━━これからの夢、これからしたいことをおしえてください。

  • ボイジャーやサスティンカードのメッセージだけでなく、自分自身のメッセージを表現することです。ボイジャーやサスティンカードは素晴らしいものですが、それは一つのツールですから。それらのツールの裏には、常に隠れているわたし自身があります。ですから、今度はわたしの出番です。わたし自身をもっと表現するようなわたしのメッセージを創出したいと思います。

━━━本の執筆を通してですか?

  • そうです。幸福な人生を送るための本、人生を幸せで健康で豊かに生きる生き方についての本を書いているところです。カードはその一部、そのためのひとつのツールです。ようやく、自分自身のメッセージを書く番になりました。

━━━素晴らしいですね!完成を楽しみにしています。ありがとうございました。

インタビュー後の感想:
ボイジャータロットは決まりのないのが決まりというタロットです。自由なタロットです。でも、実際、自分がこのタロットを教えていると、自分のリーディングを相手に押し付けようと思う自分に出会ったり、相手のリーディングが受け入れられない自分を見つけたりします。
 自分を自由にし、相手を自由にするということは、ただ、あるがままを受け入れるということです。自分を認め、相手を認め、包み込むことです。すべては、輝く素晴らしい存在だから。カードは、いつもわたしをそこに導いてくれます。
 それが、なぜかわかりました。ジェームスさんのビッグハート。彼が、このカードを通じて、わたしたちにそれを伝え、そして、その気づき、変容を認めてくれているからです。それは、大きな宇宙の愛、深い叡智なのだと思います。ジェームスさんは、歩み続けています。過去に縛られず、新しい未来を創造するために。その姿勢が、その生き様が、わたしたちに自由を教えてくれます。彼自身が、もっともっと自由になろうとし、喜びのままに生きている。その存在にインスパイアされました。わたしももっともっと自由になります。もっともっと変容していきます。(た)

ジェームス・ワンレス James Wanless
カリフォルニア在住。元大学教授だった彼はインドで瞑想をし、スピリチュアルな世界の探求を始めた。大学教授のキャリアを捨てた彼は、タロットカードの持つ大きなパワーに魅力を感じ、新しい時代の新しいタロットを誕生させた。1986年、ボイジャータロットが誕生。現在は個人セッション、世界中でのワークショップの他、ラジオなど多くのメディアで多くの人の成長のサポートをしている。


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